健診・ドック検査結果ガイド
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消化器の検査17カンジダ性食道炎食道感染症の中で最も多いもので、真菌(カビ)の一種であるカンジダが食道粘膜に侵入した状態です。免疫力低下、過剰な糖摂取などが原因となります。気管支喘息治療で吸入薬を使用している場合に認められることがあります。経過観察が必要です。逆流性食道炎胃内容物(多くは胃酸)の逆流により、食道胃接合部や食道下部にびらんなどの粘膜傷害が認められます。食道裂孔ヘルニアなどにより一過性に下部食道括約筋圧が低下することも大きな要因と考えられています。主な症状は胸やけや呑酸ですが、喉の違和感などが出現することもあります。治療としては、プロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制薬が非常に有効です。胃潰瘍胃酸の影響を受けて胃の粘膜に欠損が生じた状態を潰瘍といい、潰瘍が完全に治癒し粘膜欠損が修復された状態を潰瘍瘢痕といいます。ピロリ菌の感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が2大病因であるといわれています。治療が必要です。ピロリ菌による胃潰瘍では、除菌治療により再発抑制が可能です。胃過形成性ポリープ消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、正常粘膜が単に厚くなったものが過形成性ポリープです。通常大きさは2~3㎜程度で、ほとんどのものは経過観察で問題ありませんが、大きなものからは稀に癌ができることがあり、精密検査が必要となります。また、貧血の原因となるような場合には内視鏡切除が必要になることもあります。ピロリ菌による胃の慢性炎症がその発生に関係していると考えられており、ピロリ菌除菌治療でポリープが小さくなることもあります。胃底腺ポリープ消化管の内腔を覆う粘膜の一部が隆起したもので、茎のない5㎜程度の半球状のものがほとんどです。周囲の粘膜と同じ色調をしており、しばしば数個以上みられます。ピロリ菌のいない胃に発生することが多く、癌化することもないので、経過観察は不要といわれています。萎縮性胃炎主にピロリ菌の感染によって引き起こされる胃炎を指します。進行すると内視鏡検査で粘膜下の血管が透けてみえるようになり、診断は容易となります。大部分の方は無症状ですが、軽度の消化不良または胃もたれや膨満感などの症状を呈することがあります。高度の萎縮性胃炎は胃癌発生リスクが高く、定期的な内視鏡検査が必要です。また、ピロリ菌除菌治療により胃癌発生リスクが低下することが期待されています。

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