認知症2025年問題とは 健診会 東京メディカルクリニック

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認知症コラム Vol.0「認知症2025年問題とは」

2025年、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となります。
2025年問題とは、少子超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを言います。

  • 認知症問題
  • 定年の引き上げもしくは定年制度の廃止
  • 社会保障制度の財政不足

などが挙げられますが、特に本人や家族への影響が大きいといわれているのが「認知症問題」です。

認知症2025年問題とは

認知症2025年問題とは、認知症による社会的・経済的な負担が増大し、様々な分野に負担を与えると予想されることを指します。
日本では、65歳以上の高齢者人口が全人口の約29% に達し、認知症の患者数も年々増加しています。認知症の患者数は5人に1人が認知症になるといわれています。2025年には700万人、2050年には1,000万人に増えると予測されており、医療・介護費用や介護人材不足などの社会的課題がさらに深刻化することが予想されています。

図1 65歳以上の認知症患者数の将来推計

図1 65歳以上の認知症患者数の将来推計
出典:厚生労働省老健局「認知症施策の総合的な推進について」

この問題に対して、日本政府は「施策推進大綱」を策定し、認知症の早期発見・診断、予防、治療、介護などの総合的な取り組みを進めており、認知症に対する理解を深めるための啓発活動や、認知症を早期に気づくための検診の実施などが行われています。
しかし、認知症対策はまだ不十分であり、一人ひとりが認知症について正しい知識を持ち、予防や早期発見に努めることが重要です。

図2 介護が必要となった原因

図2 介護が必要となった原因
出典:「厚生労働省2022年 国民生活基礎調査の概況」


認知症の介護は、身体的・精神的な負担が大きく、介護者にストレスや負担がかかります。特に、認知症の人が幻覚や妄想を抱く場合、介護者が常に対応しなければならないため、その負担はさらに大きくなります。また介護疲れで精神的に不安定になることも考えられますし、仕事を続けることが難しくなって介護離職につながることもあります。
人生100年時代と言われる現代では、健康に長生きするために健康寿命を延ばすことが課題となっています。

認知症治療法について

認知症の2/3を占めるアルツハイマー型認知症治療には、アセチルコリンという神経伝達物質の減少を抑制することによって神経伝達を改善することを目的とする薬が3種類、脳内でのグルタミン酸の働きを抑制することにより神経細胞を保護して神経伝達を改善することを目的とする薬が1種類あります。なお、前述の薬のうち1種類は認知症の約4%を占めるレビー小体型認知症にも適用されていますが、脳血管性認知症他の認知症には適用されません。
これらの薬剤の効果には個人差がありますが、多くの場合、認知症症状の進行抑制が見られます。ただし、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症そのものの進行を抑制することはできず、症状を完全に治すことは難しいため、薬剤の効果は限定的であることも覚えておく必要があります。また、本年8月には新たな治療薬として期待されている「レカネマブ」が厚労省の専門部会で薬事承認が了承されましたがその適用はアルツハイマー型認知症の前段階である軽度認知障害及び軽度アルツハイマー型認知症の方に限られる模様で、より早期の気付きが大切です。

認知症への理解と取り組みについて

いかがだったでしょうか。高齢化社会の進む日本では、認知症についてひとりひとりが正しい知識を持ち、予防や早期発見に努めていく必要があります。

今では認知症意識調査における自分自身が最もなりたくない病気は、がんを抑えて認知症が最も多い結果となっています2)。
認知症は自分自身にもその家族にも負担のかかる病気ですので、ならないために予防することが近年注目されています。
また認知症になってしまった場合でも、早期に発見し、治療・介護に取り組むことが大切です。


1)出典:厚労省/慶応義塾大学調べより
2)太陽生命少子高齢社会研究所調べ 認知症意識調査 

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