認知症/軽度認知障害(MCI) 健診会 東京メディカルクリニック

MENU
外来診療
画像診断センター
MENU

認知症/軽度認知障害(MCI)

認知症関連コラム

認知症とは

認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。

認知症の種類

ひとくちに認知症といっても、いくつか種類があります。
日本人に一番多い種類は「アルツハイマー型認知症」です、日本人の認知症患者の60-70%を占めているといわれております。脳神経が変性して、脳の一部が萎縮していく過程でおきます。ついで脳梗塞・脳出血などの脳血管障害によっておこる血管性認知症が多く、他にレビー小体型認知症などもあります。複数種類の認知症を合併する場合もあります。

認知症の症状

年齢を重ねることで、誰しも思い出したいことがすぐ思い出せなくなることがありますが、認知症によるもの忘れはこういった「加齢によるもの忘れ」とはまた違います。物事の一部だけでなく、体験自体を忘れたり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性があります。

「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い(一例)

  加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
体験したこと 一部を忘れる
例)朝ごはんのメニュー

すべてを忘れている

例)朝ごはんを食べたこと自体
もの忘れの自覚 ある ない
探し物について (自分で)努力して見つけようとする 誰かが盗ったなどど、他人のせいにすることがある
日常生活への支障 ない ある
症状の進行 極めて徐々にしか進行しない 進行する

政府広報オンライン
「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html)より抜粋

加えて下記のような症状が見られます。

(1)記憶障害

新しいことを記憶できず、ついさっき聞いたことさえ思い出せなくなります。病気が進行すると、以前覚えていたはずの記憶も失われていきます。

(2)見当識(けんとうしき)障害※

時間や季節感の感覚が薄れよりはじまり、迷子になったり遠くに歩いて行こうとしたりするようになります。さらに進行すると、自分の年齢・家族等の生死に関する記憶がなくなります。

※見当識(けんとうしき):現在の年月や時刻、自分の所在など基本的な状況を把握すること

(3)理解・判断力の障害

思考スピードが低下し、考え分けることができなくなります。具体的には、2つ以上のことが重なると話している相手が誰かわからなくなったりします。また些細な変化やいつもと違うできごとで混乱してしまったり、倹約を心がけながら必要のない高額商品を購入したり、自動販売機や駅の自動改札・銀行ATMなどの前でまごついたりといった症状が見られます。

(4)実行機能障害

自分で計画を立てられない・予想外の変化に柔軟に対応できないなど、物事をスムーズに進められなくなります。具体期には同じものを買ってきてしまう、料理を並行して進められないなどの症状が見られます。

(5)感情表現の変化

その場の状況がうまく認識できなくなるため、周りの人が予測しない、思いがけない感情の反応を示すようになります。

(6)行動・心理症状

本人の性格や環境・人間関係など複数要因が絡み合い、うつ状態や妄想といった心理面・行動面の症状も起こります。具体的には、抑うつ気味になったり、他人への物取られ妄想などがあたります。

認知症の治療について

日本人罹患者のほとんどをしめるアルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症などの変性性認知症には現在根本的な治療法が見つかっておりません。薬物療法によって進行を抑えることが基本になっています。また、症状を抑えるために周囲のケアや環境調整、リハビリテーション等の非薬物療法も非常に重要です。

認知症予防のキーワード軽度認知障害(MCI)

発症してしまうと治療が困難な認知症ですが、発症前の予防が重要ということが研究の中でわかってきました。 そこで重要になるのが軽度認知障害(MCI)と呼ばれる段階になります。

軽度認知障害※1(MCI)は「加齢によるもの忘れ」と認知症の間にあるグレーゾーンにあたります。

こちらは、認知症予備軍とも呼ばれ、認知症ではないものの、加齢に伴う物忘れよりも悪い状態が継続的に続く状態を指します。

<軽度認知障害(MCI)の特徴>

  • 記憶障害の訴えが本人または家族から認められている
  • 日常生活動作は正常
  • 全般的認知機能は正常
  • 年齢や教育レベルでは説明できない記憶障害が存在する
  • 認知症ではない

MCIの状態が5年ほど継続すると半数以上の人が認知症に移行すると言われています。一方、MCIの段階で適切な予防を行うことで、認知症への移行を食い止めることもできます。

認知症予防のためには

認知症のリスクを低減するため、推奨されるのは運動習慣を持つことです。世界保健機関(WHO)では「身体活動」が認知機能正常の成人に対して認知症機能低下のリスクを低減し、特に65歳以上の成人に対して「週に150分(2時間30分)以上の中強度の有酸素運動、または週に75分(1時間15分)以上の高強度の有酸素運動などを行うこと」、「有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続けること」を推奨しています。
中強度の有酸素運動には、歩行や軽い筋トレなど、高強度はランニングやクロールの水泳などが該当すると考えられます。

また、認知症は「脳の生活習慣病」と言われています。生活習慣病というと主に消化器や循環器系の臓器の病気が思い浮かびますが、実は脳も生活習慣の影響を受けているのです。

高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病。飲酒喫煙も認知症のリスク因子と考えられておりますので、普段から生活習慣病にならないような生活習慣を継続していただくことが、認知症の予防にもつながります。

採血で、軽度認知障害(MCI)のリスクをスクリーニングできる最新検査もご用意しておりますので、そちらで自分のリスクを事前に把握しておくことも予防のモチベーションのひとつになるかもしれません。

当院で行える認知症検査

まとめ

  • 認知症と加齢によるもの忘れは違うもの。認知症特有のサインに気をつけましょう。
  • 多くの人がかかるアルツハイマー型認知症は治療が困難。軽度認知障害等、発症前からの予防が重要です。
  • 認知症予防には運動習慣が重要、事前にリスクを調べて予防に取り組むことも有効です。

参考

日本神経学会 認知症疾患診療ガイドライン2017
厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
政府広報オンライン「もし、家族や自分が認知症になったら知っておきたい認知症のキホン」https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
Ref: Petersen RC et al. Arch Neurol 2001
Bruscoli M.et al. “Is MCI really just early dementia? A systematic review of conversion studies.” Int Psychogeriatr. 2004 Jun;16(2):129-40.
Manly JJ. et al. “Frequency and course of mild cognitive impairment in a multiethnic community.” Ann Neurol. 2008 Apr;63(4):494-506.
認知症予防習慣
https://ninchishoyobo.com/
WHO「認知機能低下および認知症のリスク低減(Risk Reduction of Cognitive Decline and Dementia)のためのガイドライン」

ページトップへもどる